今月のマダム「JULY MADAM」は「カフェ・ギャラリーゆずりは」店長の斉藤紀江(さいとうみちえ)さんをご紹介いたします。


「子供です。私の二人の娘。もう二人とも中学生なんですけど、下の娘なんて、未だ赤ちゃんの時みたいに可愛い。たぶん仕事より夫より、子供が一番好き」
迷いもなく、即答だ。
「でも、この間失敗しちゃって・・・塾に行ってるんですけど、バスがね、家の前まで来るんです。そのバスを見送って、塾のバスの運転手さんに「よろしくお願いします」って頭下げたら、後で娘に怒られたんです。あんなことしないでって。誰もお母さん見送りになんて来ないし、運転手さんに挨拶なんてしないよ。どうせ、幼稚園のバス通園を思い出して、感傷に浸りたかっただけでしょって」
そうなんですか?
「そうなんですよ。幼稚園の通園バスを見送ったころの自分を思い出して、なんか、ちょっとウルってきたりして・・(笑)もしかして私、子供が好きっていうより、子供が好きな自分が好きなのかも・・(笑」


大阪「南」のど真ん中、心斎橋筋まで歩いて行ける場所で生まれ育った。
大学を出て、就職したのも「南」
華やかで騒々しくて、パワー溢れる「南」の町が大好きだった。結婚して北摂の街に居をかまえたが、美容師の夫が独立して自分の店を出す場所を決める時も、「南」を薦め、子育てが一段落してからは、夫の店を手伝うために「南」に通った。
「新御堂筋を降りて御堂筋を車で走っていると、段々ワクワクしてくるんですよ。結婚してからも、もう一度「南」で働きたいと、ずーっと思っていましたから」
けれど、夫の店が落ち着いて、美容師資格を持っていない「奥さん」が、スタッフの負担になるかも知れないと、他の働き先を考えた時、彼女が選んだのは街ではなくて、「山」。
「北摂は、私の母の実家がある町で、子供の頃から慣れ親しんだ場所。大阪「南」の華やかさも、北摂の緑豊かな落ち着きも、どちらも大好きなんです。今は、「ゆずりは」に続く箕面の滝道に吹く風や、川のせせらぎ、カフェの窓から見える、まるで額に縁取られたような四季の木々の美しさに、心癒されます。
年齢を重ねて、更にそういう良さを、実感出来るようになったんです。仕事をする場所って、仕事の内容と同じ位大切ですよね」

「ゆずりは」の営業時間は日が落ちるまで。朝は5時過ぎに起きて、一通りの家事を済ませ子供達を学校に見送ったら、すぐに出勤。週に一度の休日も、着物の着付けを習ったり、仕事のミーティングが入ったりと、なんともパワフルな毎日をおくっている。

「友人には、シャークみちえって、言われます。止まったら死ぬの?って(笑)」

そんなに忙しい毎日の上、サービス業って立ちっぱなしだし、お客様にすごく気を使うお仕事だろうし、大変でしょう?
「だからね、夜十時にはもう寝ています。これまでの人生の中で一番品行方正かもしれませんね(笑)でもサービス業は、大好きですよ。性にあってると思います。一人一人のお客様に目を配って、満足していただけるように心をつくす。これって技術なんです。心遣いって、心だけじゃなく、それに伴う動きも必要だと思います。サービス業って心遣いのプロですから、どちらも十二分に出来ないといけない。それができたと実感できた時、嬉しいですよお。お客様の帰り際、お見送りしながら『ありがとうございました』って、頭を下げる時が何より好きな時間です。」

楽しい・嬉しい・好き・・・
彼女の口からは、この言葉が溢れてくる。
子育ても、仕事も、車を運転している時も、彼女は「今」を大事に出来る人なのだろうと、そんな風に思う。
カフェ・ギャラリー ゆずりは WEB SITE http://1j2s.sakura.ne.jp/yuzuriha/
取材・文:MAKI